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横浜市港南区~磯子区峰~金沢区氷取沢にかけて円海山と呼ばれる山がありまして・・・

風景がとても横濱と思えない綺麗さなんです。 IMG_5684

今では静寂な森の中の古道沿いにある阿弥陀寺と言う御寺と、昔は阿弥陀寺の奥院だった護念寺と呼ばれる御寺ですが、実は江戸時代~昭和初期まで凄く有名で、日々参拝客が蟻の行列の様に大量に列をなして訪れた名古刹なんです。

実はこの護念寺ですが、お灸治療の大本山とも言うべき御寺でして、古典落語「強情灸」の舞台でもあるんですね。
ですから、この御寺は「峰の灸」の別名でも呼ばれています。
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かつて、磯子区杉田〜港南区笹下にかけて点在した広大な杉田梅林は、江戸からの江戸っ子観光客で賑わっていました。

船で磯子区杉田の聖天川までクルージングし海からの屏風ヶ浦の美しい風景を楽しみながら、杉田梅林を見学に来る訳ですね。残念ながら杉田梅林は教育委員会が開発容認し消滅しました。…明治天皇や皇族もよくいらっしゃった美しい風景と最高級の梅のブランド杉田梅を教育委員会が消失させたんですね。

で、その江戸時代から昭和初期の観光コースに峰の灸も入っていたし、純粋な治療客も沢山いました。

横浜横須賀道路と言う高速道路の開通で阿弥陀寺と鎌倉古道が寸断され、鉄道の駅からも遠い事から、昭和の高度経済成長期に成ると段々、参拝客も減ってきてしまいましたが・・・
今でも慢性的に体の痛みがある人がココに来て治療を受ける、お灸の本場なんです。

もっとも・・・
小生はソンナ歴史も知らなかった20歳の頃、原付バイクでフラっと田舎道の風景を探して立ち寄って、その聖地のような清々しい空気感に呼びこまれて迷い込んだ御寺なんです。
その時は、竹林の風景の美しさと、何だか…
「あ~横浜市が久良岐郡と呼ばれた頃の風景はこんな感じで美しかったんだろうな~」
・・・と思っただけでした。
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この護念寺は清浄園と言う公園墓地に至るまでのアプローチが昔の鎌倉古道なので、とても神秘的な風景が残っているんです。
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素敵でしょう?
丸で鎌倉の隠れ家に来たような・・・
神様の住んでる御社(おやしろ)でもありそうな雰囲気ですよね?

紅葉もチラホラとあり、この季節はここに来てヒンヤリとした空気を吸い込むと、何だか生きてる感じが凄く静かに感じられるんです。
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この、静かに遠慮気味に色づく紅葉達の奥に御念寺の本殿があります・・・
今日は前に車が数台とまっていたので美しい風景にならないと思い写真に写しませんでした。

本殿を過ぎるとマイナスイオンでヒンヤリとし、静寂な神聖な霊気を感じる様な竹の隧道が出迎えてくれます。

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この竹の道を過ぎると、清浄園と言う墓地に辿(たど)り着きます。
そこからは横浜港が一望でき、ランドマークタワーやベイブリッジが見えます。

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今日は生憎の曇天でしたが、紅葉に色づく円海山の眺望に満足できました。
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実はこの円海山、昔の久良岐郡と現在の横浜市で一番標高の高い山なんです。
…と、言っても300mくらいですが、それでも海から2km程度内陸に入っただけの沿岸部なのでだいぶん高低差があります。
何でこんな場所に鎌倉古道が有るかと言えば、よくブログで説明するのですが古代~平安時代~鎌倉時代は海面が今より高く、又、治水技術も発達しておらず川も良く氾濫していたので道は洪水の影響を受けにく尾根に沿って開設されたんです。
だから川に沿って蛇行したり湿地を避けて遠回りしたり、歩きにくい峠道が多かったんですね。

素敵な場所でしょう?

冒頭で申し上げましたが、この護念寺は峰の灸、古典落語「強情灸」の舞台なので、せっかくの機会ですし、強情灸を御存(ごぞん)じ無い方(かた)の為にその噺(はなし)を紹介します。

護念寺の本山であった「阿弥陀寺」と「白山神社」の話は、また改めて別記事「ココ」(←クリック!)にまとめましたので別に御覧頂ければ幸いです!

【強情灸】
通りかかった知り合いが唸っているので、気になった男、家に招き寄せる。
聞けば何でも体がだるいので、""という店に灸を据えてもらいに行ったらしい。


「このお灸な、凄まじく熱いんで評判なんだよ。気の弱い奴なんかな、一つ据(す)えただけで…
「ギャー!!」
なんて天井突き破って飛んでっちまうんだと」

余りにも熱すぎるので、せっかく来た人が怖気づくぐらいだが…
それでも"効く"という評判のおかげで店の前は長蛇の列。
仕方がないから、番号札を配って据えてもらっているらしい。


俺がもらったのが"への36番"行列のどん尻だぜ?これじゃ日が暮れちまう…
「帰ろうかな」
…って思ったらよぉ!
先に並んでた綺麗なお嬢さんが先客が熱がってるんで心配(不安)に成っちゃったんだろ?
…俺に
「ねえ、アタシと代わってくれませんか」
なんて…
「ええ!ようござんす♪」
…と、喜んで代わりましたとも。

早速内に入ると、店の者が…
「うちの灸は熱いですよ。大丈夫ですか?」


頭にきた友人、上半身裸になるや…
「さあ据えてくれぃ!」
…と怒鳴る。

灸を36箇所に据えると言われ、なおも意気がった友人…
「全部いっぺんに据えろ(怒)!」と一喝。
啖呵に店の者も釣り込まれ、本当に全部いっぺんに据えてしまった。

一つで飛び上がるような灸を、36個いっぺんに据えたんだからどうなるか?


身体中から煙が上がる…不動明王みたいになっちまったが…"ここで逃げたらカチカチ山のおタヌキ様"だ。
我慢して唸ってたら…
店にいた奴らがみんな寄ってきてヨ!
「この人、本当に人間かい?」
「神様の化身でしょう」
…なんて感心してやがんだよ。
…その中にね、さっき俺と札を取り替えたお嬢さんがいてさ、俺の顔を見てポーッとなってんだ。
「あぁ…たくましい人ね、お嫁になるならこんな人が」
…なんて思ってやしないかと。

自業自得で熱い目に遭ってきて帰り道で唸っているような間抜けの(笑)、体(てい)もないノロケ話を聞かされ、呼び込んだ方の男は面白くない。
元来こちらも同類の馬鹿である…
「たかだか灸ぐらいで威張るな!」
…と、奥から藻草(もぐさ)を持ってきて、腕に山盛りに積み上げるや早速点火(笑)♪


「活火山だよコリャ(笑)…見てろ!今に火が回ってくるから(笑)」
火勢が強まり、煙が上がる。
男、脂汗を流しつつ歯を食いしばる。

「うう(汗)…」
「…灸ぐらいで威張るな、石川五右衛門なんか、油で茹でられたのに平気で辞世の句を詠んでたぞ!」
「石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ…ってな!」
「八百屋お七なんか、15歳で火炙(ひあぶ)りだぞ?」

…それに比べりゃこんな物…お七…五右衛門…お七…

ぎゃぁあぁっつ!」

とうとう辛抱堪(たま)らず藻草を払い落とし、なおも「五右衛門んん…」と唸っている男に、友人が意地悪く声をかける…

「五右衛門がどうしたって(笑)?」
「…」
「……」

「………さぞ熱かったろう」

以上、久良岐のよしがお届けしました「強情灸」、楽しんでいただけましたでしょうか?ではでは、次回は護念寺の本院だった円海山、峰の阿弥陀寺と白山神社の記事でお会いしましょう!