皆さんは公害発生の可能性を断つ日本で最新鋭の火力発電所が横浜市磯子区に存在しているのを御存知でしょうか?名前を東京電力南横浜火力発電所と言います。
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そして、その火力発電所の施設の模型や文字による解説、映像資料等を展示した場所が存在するのを御存知でしょうか?その施設の名前をISOGOエネルギープラザと言います。
実は小生も最近まで知らなかったのですが、この施設が無料で入館出来るのです。車で行けないので少々不便ですが磯子駅からバスで直ぐに来られるので、横浜市民のみならず他都市からも見学に訪れる事が出来ます。
位置的にはこんな感じ・・・
ISOGOエネルギープラザの場所 久良岐のよし
ここの存在を知ったのは2週間くらい前に夜景を探して夜な夜なドライブして来た際にGoogle Mapを見ていて火力発電所の存在を再認識してから、ホームページを検索して情報を入手したからでした。
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その時に撮影したのが09月14日に記事にしたこの風景。
コレ記事リンク→
今回、最初は金沢文庫博物館が展示替えしたので其方に遊びに行く心算(つもり)で何にも準備しておらず、ISOGOエネルギープラザさんの事を思い出して電話連絡してから訪問したのですが、別に電話しなくても日曜日以外は常設展示は直ぐに無料見学出来ます。
しかも!ちゃんと事前に予約すると火力発電所その物も見学させて頂く事も可能だそうです。
残念ながら今回は突然の思い付きの訪問だったので今回の記事は常設展示の紹介だけですが、いずれ火力発電所実物の見学も予約してレポート記事の続きを書こうと思います。

さて・・・

ISOGOエネルギープラザさんはセキュリティーの守衛さんが立っている正門をくぐって直ぐ右手に建物の入口が在(あ)り、そこがそのまま解説展示施設の入口にも成っています。
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この入口の右手が駐車場なのですが、そこにも機械好きの興味を引く展示物が有りました。
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建替え前の旧火力発電施設時代の低圧タービンとか・・・
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蒸気ドラムとかですね!
・・・もうコレ、戦艦とか工場とか大好きなデカイ機械マニアにはタマらん逸品でしょう(笑)?
そして、この展示物に並行して植えられている桜の木の解説を読むと、この会社の志の高さを知る事が出来ます。
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この会社の初代総裁である高碕達之助翁が生前、旧岐阜県荘川村(現:荘川町)が御母衣ダム建設によって湖底に沈む事が決まった際に、安土桃山時代に植えられたアズマヒガンと言う樹齢400年超の桜の巨木2本を桜博士の笹部新太郎先生の力を借りて荘川村村民の郷土の誇りを失わせない為に古今未曽有の移植事業を行い保護したそうです。
最近はどの企業経営者も従業員を大切にせず、地域貢献や国の発展等に目もくれず目先の金だけを稼ぐ事に執着し天下100年の計も無く世を見通す力も無く、TOSHIBAやSHAAPやSANYOの様に自分達の地位保全だけの為に売国行為に走っていますね。
ところが昔の経営者と言うのは淡路島と函館の街を作った高田屋嘉兵衛さんに始まり、我が郷里横浜市の原三渓さんの原財閥、鉄道敷設と日本の物流発展に寄与した浅野財閥、経済世民を地で体現した渋沢栄一先生、日本近代造船の父であり横浜に深い関わりの有る渡部忠右衛門さん、そして今回訪問した磯子火力発電所を開いた電源開発(J-POWER)の初代総裁の高碕達之助さん達・・・これ等の経営の先人達は皆、国民の生活や自然環境と日本文化の保護や国と地域の発展を考えて私利私欲の前に“公益世務”と言う言葉を体現されて生涯を全うしておられるのです。
そんな事が荘川桜の移植の事からも感じ取れたりするのですが、中の展示を見ると、この高碕翁の理念が体現された施設が現在の磯子火力発電所である事が理解できます。
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先ず中に入ると対象年齢12才前後と思われる内容の映像解説を見る機会が有ります。
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このミニシアターで火力発電の源である石炭が、鉱石としてどうやって地球の悠久の歴史の中で生成されていったか、植物の化石である事から非常に解り易い動画で解説してくれます。
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そして、どの様に人間の文化に利用されていったか等、文化面や工業面で人間の文明を発展させて来た石炭の歴史が解説されます。
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小生は浅学で知らなかったのですが、中国では中華料理に必要な強い火力を得る為に1200年位前には既に石炭が利用されていたそうです。中華料理の炒め物や揚げ物や煮物は強い火力を利用して短時間で作り上げる料理が多いのですが、これはガスの登場以前からの文化だったのですね。
・・・日本人は明朝までの中国には非常に敬意を感じる人も多いと思いますが、中国文化はやはり本来は素晴らしく発展した物だった様ですね。満州族征服王朝である清朝で今の中国共産党みたいに軍拡帝国主義で疲弊し、共産主義の文化大革命で文明後退する以前の中国はやはり素晴らしい文明の国だった訳です。
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そしてイギリスで蒸気機関が発明され産業革命が起きて給食に鉄鋼業等の重工業の発展が齎(もたら)された時期、その蒸気機関に必要不可欠だった物が石炭だと言う解説も有ります。
何故、石炭の解説を動画で行っているかと言うと、実は現代の火力発電所も石炭を燃焼させて発熱しタービンを回して発電するからです。
「え?じゃあ産業革命や日本の高度経済成長期みたいに公害未だに凄いんじゃない?」
・・・と思うでしょう?それが違う。今の磯子火力発電所には高碕達之助翁の理念と魂が吹き込まれており公害の元と成る粉塵や有毒ガスは限り無く0の無公害処理の上で放出されているんです。
有る意味、高リスクで産廃処理不可能な原子力発電より素晴らしい施設ですね。
ミニシアターの他にも面白い物が有りました。
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潜水艦の潜望鏡の様な機材なのですが、実は火力発電所の高さ300mの排煙塔に据え付けられた展望カメラを自由に操作する事が出来ます。
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これで遊ぶのも当然無料。だから子供連れてきたら、きっと喜んで遊ぶので家族連れにピッタリの施設である事が既にこの段階で伝わるんじゃないでしょうか?
文字による解説も充実しています。
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非常に解り易い!まぁ~、館内の模型解説と内容が被ってるんですがね(笑)。
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パンフレットも日本語・英語・中国語で揃っています。これ、公害の凄い中国の政治家に読んで反省して欲しいな。
さて、中に入ると中央に“施設の位置”を解説する為のジオラマが有ります。
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これが又、結構精巧に作られていて面白い。
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タッチパネルを操作すると各施設の役割が理解出来る解説が表示されます。
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こんな感じ。
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そして更に、これとは別に一つ一つの“施設の役割”と“物理的な動き”を解説する模型と映像解説が壁面に細かく細分化されて展示されています。
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最初は文字と写真の資料。
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これをちゃんと読むと一連の火力発電の流れが小生の様な文系人間の歴史マニア馬鹿にも理解できます。
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そして御丁寧に石炭を採掘するところの説明と現物展示から始まり・・・
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採掘後の運搬船と、発電所施設への搬入と管理方法の解説・・・
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模型と光を使って石炭の流れを再現してくれます。
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本当に解り易い。
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石炭なんか、静電気で火災発生したりしたら本当に大惨事だから思ってみれば搬送する所から本当に大変なんだよな~。
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横浜の磯子火力発電所の石炭貯蔵施設は4つクローバーの花の様に並んだサイロなのでクローバー型と呼ばれ有名らしいです。
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どうやって管理されているかも模型で再現されています。
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そして凄いのが施設内でのコンベアによる搬送方法。
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このベルトコンベア、動力が空力で、ベルトを空気圧で浮遊させて石炭を運ぶので騒音が発生させず周辺町村に迷惑をかけずに施設が稼働出来るそうです。
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そして、これも知らなかったのですが昔の蒸気機関や高度経済成長期の発電所と違い、効率よく石炭を燃焼させたり公害を抑える為に先ず、石炭自体を細かい粉末に粉砕してから使うそうです。
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でもね~、これ、凄く技術力と精密な管理がいると思うんです。
石炭なんてただでさえ可燃性なのに、粉末って静電気発生しやすいでしょう?
小麦粉とかのサイロでも静電気で火災が発生する事件って有るんですよね~。
だから本当に、磯子火力発電所はとんでもない最新鋭の管理技術が導入されているのが燃料としての石炭の破砕の項目一つとっても解るんですよね~。
でも高碕翁の理念が現代の従業員にも脈々と活きづいているから、このクオリティーを実現出来るんでしょう。
「おい!横浜市最後の蛍の広域生息地と自然公園の円海山瀬上沢を宅地開発したがってる東急グループと容認派の林文子市長!アンタ等東急創業者の渋沢栄一先生が御祭神として祀られた東横神社の神前で懺悔して来いや!そしてJ-POWERの職員を見習って自然環境保全と日本文化史跡保護の理念再認識しろや!」
・・・と、施設を見学しながら脳裏を過(よぎ)る小生。
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この模型と同じ構造の粉砕機を使って石炭を砕き吸い上げるそうなんだが・・・
本当に良く火事に成らんな。
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何かボイラーの構造も凄くって解説を見る限り、蒸気の再加熱だけでも何重の構造が設けらえていたりするらしい。
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プラスティックの透過性を利用して光を使い上手く炉内の掘能を演出した模型。
これなら子供にも解り易い。妹の所の甥っ子と姪っ子がもう少し大きく成ったら火力発電所見学予約して連れて来てあげたいなぁ~。
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そしてタービンの解説。
なんか横浜のは直列式と言って、効率の良い施設配置に成っているらしく設置コストも抑えられるらしい。
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左側が横浜のが採用している形式、右側が異なる形式。
素人目にも左の方がスッキリしてジェットエンジンのタービンみたいで効率良さげなのが何となく解る。
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写真も有るので実物の規模も解り易い。
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そして最後に送電な訳だが、電気を販売するのは東京電力の仕事で別会社、その東京電力に電気を売るまでがJ-POWERの仕事らしい。
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送電線は銅線だそうだ。
だから良く金属泥棒が送電線盗んだり事件に成るんだな。
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でもこれ、地下トンネルに送電線配置されてる訳だろ?関東大震災来たら水没するだろうし大丈夫なんだろうか?と素人目に一抹の不安も沸いた。
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んで最後に空気の浄化システムの解説とか有って・・・
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てか、静電気で灰塵を選別するとか・・・粉塵と電気の最悪の組み合わせを火災に成らずに使いこなす技術って凄いね。
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乾式排煙脱硫装置と言うらしい。
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この数値が凄まじい。恐らくヨーロッパで未だに酸性雨の被害が凄いのもディーゼル車が主流なせいでは無く原発廃止して火力発電所増やしているのに日本程の技術力が無い旧世代の火力発電技術しかないから窒素酸化物とか硫黄酸化物が略略(ほぼほぼ)垂れ流しなんだろうな。
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何か今回の訪問で知ったのだが、石炭と言うのは産廃に成らず肥料の元と硫酸に成るらしい。
そして肥料の元と硫酸は転売が利くので、それも副産物に成るそうだ。
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クリンカは大きめの石炭の溶解して再結晶した灰。フライアッシュは粉塵のままの灰だそう。
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あと子供が好きそうな火力発電の趣味レーター。
タービンを1つ~3つ、個別に回したり3つ同時に回して発電した場合の電力発生のスピードの差を模擬実験出来る。
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そして通電する物としない物の実験装置。
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自分で電極を持って、実際にヤカンやなんかに触れて確認出来る。
こう言う実験は子供の興味を引くが我々オッサンも楽しい(笑)。
2017年09月27日の小生の来場時間は客が小生一人だったので実験しまくりの上、ゆっくり観覧出来て非常に良かったのだが・・・
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これだけの素晴らしい見学可能な火力発電所と展示館、来客が少ないのは文明向上には損失だと思う。
横浜市民のみならず、もっと多くの子供達や進路に迷っている高校生や大学生に社会科見学や理科の課外学習なんかに来て貰って、色々と高碕翁の偉大な理念や化学系の仕事でも人々の役に立てる事を理系文系問わず考える機会に成れば、何某(なにがし)か人生の選択の助けに成るんじゃなかろうかとも思った。

この施設の直ぐ近くには海づり公園も有ります、小さい子のいる御家庭のパパさんママさん、そして進路に迷う高校生や大学生、一度、ここに散歩に来て施設見学してみては如何(いかが)だろう?

ISOGOエネルギープラザ 営業時間:10:00~16:30 日曜日定休